「このままでいいのか?」
もうかれこれ15年以上消防署で勤務しています。
いつの頃からか仕事のモチベーションはなくなっており、日々の業務をこなすだけの毎日。
なるべく仕事が回ってこないように自ろ身の置き所を巧みにコントロールしている。
必要最低限のことしかせず、出動指令がかかれば指令内容を見て愚痴をこぼす。
消防士といえば、世間からの認知度が高く、信頼もある。安定した収入もあって、子供達からも大人気。
一方で、年功序列、古い慣習、過酷な労働環境、増えない給与、複雑な人間関係など、世間の良いイメージとは乖離している現状がある。
このままでは自分も目の前に座っている50代、60代の働かないおじさんの仲間入りも時間の問題だ。
面倒な仕事を後輩に任せ、自分は口だけ動かす。しかもその口からは文句やダメ出しばかりのイケてない消防オジサン達。
「このままではダメだ」
自分の心の声が叫んでいる。
だが、私には妻子が居て、住宅ローンに車のローンを抱え、子供の教育費や食費もこれからどんどん負担が増える。
いや、そんなこと言っている場合じゃない。
こんな気持ちで定年まであと約20年も働き続けるのか?
これが最後のチャンスだ。
今動かなければ、一生後悔する。
【私は消防士を辞める】
覚悟を決めた。
生き方 life
「たった1度きりの人生。自分の生きたいように生きよう。」
周りからのイメージを気にするあまり、自分のやりたいことや大切にしたいことが何かわからなくなっていました。
年齢や環境を言い訳にして、自分の好奇心や欲求にフタをしていたのです。
“消防士って間違いない”と、どこかでずっと思っていたのでしょう。
自分の内なる声も聞かずに随分と突っ走ってきました。
「本当にこのままでいいのか?」
ようやく、耳を傾けることができました。
自分のしたいことは何なのか?生き様はそれで良いのか?死ぬ時に後悔はないか?
目を背けていないで、自分自身と向き合ってみよう。
働き方 work
いつの間にか心の底から充実感を得られなくなっていました。
勤続年数を重ね、階級が上がるごとに仕事をしなくなっていませんか。
面倒な仕事が回ってこないように上手く立ち位置をコントロールしていませんか。
失敗はしないけれど挑戦もしない。
私はいつの間にかそんな風になっていました。
そんな働き方をしていては自身の成長は見込めません。
人生の中で労働している時間というのはとても長いです。
その長い時間の中で、自分の能力を発揮せず、新しいことにチャレンジすることもなく、ただこなすだけの日常を過ごすなんてとてももったいないし残念なことだと感じました。
限りある命の中の大切な時間なのだから、自分が納得した働き方をしたい。
失敗するかもしれないけれど挑戦したい。
“自分の得意なことや強みって何?”
“その得意なことや強みを活かすことができる環境ですか?”
私は自分のこと、家族のこと、他人のこと、もっと豊かにできる働き方がある。
活き活きと仕事をすることができるはず!そう思っています。
お金のこと money
「公務員の給料は安定している。」
これはずっと言われていることですし、私自身も抜群の安定感を経験してきました。
世界中がパニックになったコロナ禍でも、職を失う怖さや、給料が減る心配など一切ありませんでした。
しかし、下振れもない代わりに上振れもありません。
消防に入ってから、基本給はほんの少しずつ上がっている程度です。
最近の日本の物価上昇の方がはるかに上なので、生活は苦しくなる一方です。
私が思う公務員給料の安定の本当の意味とは、、、安く定まっているということです。
また、「公務員は退職金があるから良いよね!」と言われますが、60歳過ぎてもらえる退職金のためにあと約20年我慢を続けるのは私にはできません。
健康のこと health
消防士といえば、過酷な訓練や厳しいトレーニングで鍛えられた強靭な肉体をイメージする方も多いと思います。
ですが、筋骨隆々の見た目とは裏腹に本当に健康な人は多くないというのが私の印象です。
その原因は
以下2点について説明します
睡眠不足
私の消防本部は24時間交代の2部制、隔日勤務です。
朝9時に出勤し、昼、夜、深夜に休憩時間や仮眠時間をとりながら、翌朝9時に勤務終了となります。
消防署の仮眠室は個室のところもありますが、大部屋に無数のベッドが並べられてカーテンで仕切られているだけのところもあります。
イビキの大合唱が始まれば仮眠どころではありません。
もちろん深夜帯に出場要請があることも多々あるので、私は年中睡眠不足に悩まされていました。
食事内容
先述の通り24時間勤務なので、食事は昼→夜→翌朝と3回食事をすることになります。
いつ出動要請があるかわからないので、カップラーメンにおにぎり、コンビニ弁当が多く、消防署によっては自炊しているところもありますが、基本的には味が濃くて、炒めるか揚げるかといったハイカロリーな物が多くなります。
次の出動要請がかかるまでになんとか済ませたい!自然と早食いになるのもあまり良くないですね。
以上2点が消防士の健康大丈夫なの?と感じていたところです。
1日ぐらいはどうってことないのですが、毎日毎日ダメージは蓄積し、身体と心に悪影響を及ぼします。
定年退職して間もない方の訃報や、40代50代で病気になった先輩方をお見舞いに行った経験はたくさんあります。
不規則な生活リズムを整え、健康な食習慣を身につけて、適度に運動をする。少しでも長く、元気に、家族と暮らしたいのです。
まとめ
アラフォー消防士の私は仕事を辞めます。
消防という仕事を批判するつもりは一切ありません。
世の中にとって大切な仕事であることは理解しています。
消防士の中にも誇り、やりがいを持って、日々業務を遂行されている方もたくさん居ます。
給与も必要十分だと思っている方もいるでしょう。
ただ、私の場合はそうではなく、”自分の人生の価値観”と”消防士”という仕事の間でギャップが生じ、そのギャップがどんどんと大きくなっていきました。見て見ぬふりができないほどに。
結果、消防士を辞めるという決断に至りました。
他人や環境は変えられません。
変えられるのは自分と未来です。
より良い未来を掴むために行動します。
覚悟を決めて、アラフォー消防士は転職への1歩を踏み出した。